さまざまなモチーフを選んで、文字で遊んでしまう、この連載。いよいよ今月で最終回となりました。最後は、こんなテーマでお届けします。
今月のテーマ
星座
秋の日はつるべ落とし。そう言われるように、気付くと外は暗くなって、見上げると星が出ていたりします。そんな夜空を彩る星座を題材に、面白い図案をご紹介しましょう。
はじめにお見せするのは、とてもシンプルな作品。
© 2017 意瞑字査印
意瞑字査印さんの「てんびん」は、たった四文字の図案です。これを逆さにしても、やっぱり変わらずに読めるわけで、これぞまさしくアンビグラム。揺らぎのあるパーツの微妙な曲線に、カタチの不思議さと作り手の人間味を感じました。お見事です。
続いての作品は、アルファベット。さて、どんな星座でしょう?
© 2017 まっしー
まっしーさんの「Centaurus」はケンタウルス座のこと。もちろん、反対側から見ても文字そのものは変わりません。その現象を可能にするため、文字の随所に大胆な工夫が見られますが、その試行錯誤を味わうのも、文字あそびの醍醐味と言えそうです。
最後は、カタカナと漢字の混じった図案を。作者はkawaharさん。
© 2017 kawahar
上下を合わせて「オリオン座」と読んでください。やはり、上下をひっくり返しても、その全体は同じまま。それを取り囲むオリオン座の姿も点対称になっています。文字の配置も絶妙で、長さ・角度・濃淡までも味方にした技巧に驚きました。
というわけで、今月はここまで。そして、本連載もこれにて閉幕です。
まずは、三年半に渡って、さまざまな作品と素晴らしいアイデアを提供してくださった作家のみなさん、本当にありがとうございました。そして、これをごらんになっている読者のみなさんにも、あらためてお礼を申し上げます。
夜空に浮かぶ星のように、面白い文字の図案は、まだまだあります。
テーマを変えたり、言語を変えたり、映像化したり、立体化したり……思いつくだけでも、その可能性はさまざま。
そんな、まだ見ぬ文字あそびの発展に期待しながら、この連載を終わりたいと思います。もし別の機会がありましたら、またそのときにお会いしましょう。