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3本の花

これまで、いくつかのピースをケースに入れる「箱詰めパズル」を紹介しました。今回は、駒を持ち上げることなく空いたスペースにスライドさせるだけで目的の配置にする「スライディングブロックパズル」です。

3本の花

世界的には「15パズル」、日本だと「箱入り娘」などが有名ですが、スライディングブロックパズルについては、ある数学的な性質が知られています。

それがパリティ(偶奇性)と呼ばれるものです。文章で書くと「初期状態から駒を1組ずつ置き換えて最終状態にしたとき、置換が偶数回ならば駒を移動させて初期状態に戻すことができるが、置換が奇数回ならば戻すことができない」ということ。たとえば、下図の「15パズル」で14と15を1回置き換えた配置から、駒の移動だけで初期状態には戻せないのです。

駒のスライドだけで移動させることが不可能な例

パリティの話をしだすとキリがないので深追いしませんが、この性質を逆に利用したパズルもあり、古くは「Get My Goat」、1990年代には芦ヶ原伸之氏による「no-off パズル」や「Four Seasons」などが登場しました。

そこで、ようやく今回のパズルの話になりますが、この「3本の花」も過去の秀作と同様、パリティの考え方を逆手に取ったピース構成です。

メインの問題は、花の高さが揃っていない状態から、すべての花の高さが揃っている状態にすること。スライディングブロックパズルでは、駒を1回移動させるのを1手と数える慣習があり、その方式で数えると30手が必要です。

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もちろん、最初に解くときは一直線に正しく動かせるわけでもないので、試行錯誤しながら、もっと手数をかけて解いていくことになります。メインの問題以外にも、ゴールを変えればたくさんの問題を遊ぶことができるのも、このパズルの特徴です。

パズる広場では、すでに紹介してきたような多くの箱詰めパズルがあるため、出番の少ないパズルではありますが、これを並べるとずっと遊んでくれる子の出てくる、根強い人気があります。

おまけのパズルは、同じくパリティの仕掛けがある「2羽の鳥」を用意しました。ストーリー仕立てで問題を用意しましたので、駒をうまく移動させて、それぞれの場面をつないでください。(Lixy/ASOBIDEA)

2021.12.1