朝から天気の良い一日。店内に入ると、あちこちが柔らかい日差しを受けていました。その棚や壁面には、世界各国のパズルおもちゃが並んでいます。まさに遊びたい放題。そんな面白いものに囲まれたテーブルを、さらに三人が囲みます。
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- パズラボでは普段、どのような活動をされているんでしょうか?
- えぢ
- ここはカフェっていう体裁をとってますけど、ビジネスとして成り立っているのは通販なので、自分でモノを作って、モノを売るという感じですね。
- 山田
- モノを作る作業って、「デザイン」と「実際に作る」っていう工程があって、それは岩原さんも同じだと思うんですけど、それに費やす時間ってどんな割合なんですか?
- えぢ
- 元々は糸ノコみたいなもので、すごい時間をかけて作っていたんだけど、機械を自動化していったり、3Dプリンターだったら外部に委託することによって、そっちの作業を抑えるようなことをやってます。
- 山田
- 今の作業としては、3Dプリンターで作ることが多いんですか?
- えぢ
- 多いですね。やっぱり、木を削る機械も導入したけど、あれも結局その後の作業がわりと多い。
- 山田
- あぁ。
- えぢ
- 3Dプリンターにした方が、もうちょっと作業は楽かな。
- 岩原
- うちとは対照的。
- 山田
- 岩原さんは手づくりですよね。
- 岩原
- そう、手作業。
- えぢ
- いやぁ、でも機械化というか、量産化はしているでしょ。
- 岩原
- ええ、まぁ。
- 山田
- けど、量産化って、どんな規模なんですかね。
- 岩原
- 量産って言っても、数十個から、多くて200個、300個というくらいです。
- 山田
- ぼくは比較的、モノは作らないんで、ある集まりのために100個とか作ることはあっても、年に1回くらい。基本的にはデザインを起こすまでやって、作るのは誰か別の人がやってますね。
そういう意味で、岩原さんはデザイナーでありメーカーという感じじゃないですか。さらに販売もやってるし、それは大変だろうな、といつも思ってます。 - 岩原
- そう、自前でやってますね。
- 山田
- それで、パズルをお金にするとき、在庫を抱えるのも怖いし、作るのに時間を取られるのも大変だから、企画・デザインまでにしておこうと思ったんです。逆に一人で成り立つなら、それはそれで興味あります。
結局、作るのにいちばん時間がかかるんですよね。同じものを作り続けるっていうのも、けっこう大変だし、職人さんとしては、小ロットでいろいろ作る方が面白い? - 岩原
- うーん……。
- 山田
- そうでもないか(笑)。
- 岩原
- でも、新作を作るとなると、数が少ないですね。ニ、三十個くらい作って、それでも一ヵ月半とか二ヶ月かかっちゃう。材料を乾かすところから始まって、それを削って、現場で考えながら作る部分もあるので。
- 山田
- そうか、作り出す段階で、完全に設計図ができあがってる場合は少ない?
- 岩原
- なかなか完全にとはいかないですね。もちろん、作る前に出来るだけ設計を完全に終わらせたいと思っています。サンプルを作ったりもしますが、材料や精度など、本番と同じ条件で作らないと分からない部分もあります。最後まで完全に設計を終わらせるというのは、なかなか難しいです。
- 山田
- そうなんだ。
- 岩原
- 今作っている作品は、先にベースを作っちゃって、進んでいくなかでモノを見ながら、細かいところを詰めていっています。難しい仕掛の部分は、事前にサンプルを作って、確認をしていました。
- えぢ
- なるほど。
- 岩原
- (目の前にある3Dプリンター作品を手にとって)これ、削って作るんですか。それとも、砂みたいに積み上げる方式ですか?
- えぢ
- 粉を固めるタイプかな。
- 岩原
- これって、効率を出せるんですか?
- えぢ
- 精度ってこと?
- 岩原
- いえ、効率です。
- えぢ
- 効率って?
- 岩原
- 一個つくるための時間です。プラスチックなら型を作って、その型にはコストがかかるけど、その後は早いと。3Dプリンターのネックは、そこなんだろうなって思うんですが。
- 山田
- スピードってことか。少量多品種に向いてると。
- えぢ
- あぁ、なるほど。何万個と作らないのに金型をおこしてたら、なかなかペイしないからね。
- 山田
- それと、なんとなくイメージとして、少量多品種はいいけども、3Dプリンターは比較的にプロトタイプ的な仕上がりになる。
それと、もう一つは大きさ。パズルって、遊べる大きさってあるじゃないですか。とくに、子供とか。 - えぢ
- うん。
- 山田
- そうやって作ろうとすると、けっこう値が張ってくる。
- えぢ
- まあね。
- 山田
- で、木は材料代もありますけど、細かい作業を加えると高くなるわけで、だから、小さい方が高い?……そうでもないか。
- 岩原
- ものによる、かな。
- 山田
- 3Dプリンターは、大きかったらそのままコストがかかるでしょう。
- えぢ
- そうですね。
- 岩原
- いやぁ、でも(材料は)狂わないんだろうな。
- えぢ
- まぁ、そうなんだけど、これなんか基本的に重さで値段が決まるから、どんなものでも大きくすると、高くなる。小さくすると、安くなる。だから、試作品は小さくするわけ。
- 山田
- じゃあ、ぜんぶ中空にしたら、安くなるんですか?
- えぢ
- 中の材料が抜ける穴を設ければ、それは「側」だけの値段になるね。
- 岩原
- ええっ、ぜんぜん感覚が違うなぁ(笑)。
- 山田
- 木だったら、全部くり抜かないといけない(笑)。
- 岩原
- 中空なんて、とんでもない(笑)。どうやってやるんだろう?
- えぢ
- ただね、金型ではできないような入り組んだものとかを、一発でガチャっと作れるから、可能性はあるよね。
- 岩原
- すごいなぁ。
2014.4.10
(つづく)