連載の最初はこれと決めていました。
全ページを通して文字はまったくなく、まさに“絵”本。黒と緑を主体に描かれた16枚の架空の森の絵の中に、たくさんの動物(と、いくつかの人の顔)が隠れています。計133匹。
最後のページに、隠れたすべての動物・人の名前が書かれていますが、それが分かったとしても、探し出すのは至難の業。愛読者の方でも、すべてを見つけられた方は少ないのではないでしょうか。
あまりにも真剣に探しているうちに、作者の仕掛けとは違った場所に動物を見つけてしまうことも。これも、この本の楽しみ方なのかもしれません。
文字が無いゆえにストーリーが無く、読みにくいかいうと、そんなことはまったくなく、ページをめくるたびに自分が自由に森の中を散歩しているような、不思議な感覚におそわれます。読む人の想像力を掻き立ててくれる、素敵な一冊です。
左が新装版。右が「こどものとも」版で、隠れている動物の名前も明かされていない。
1977年に「こどものとも」シリーズの259号として出版、その後の1981年にハードカバー版として新たに出版、1979年には『Anno's Animals』のタイトルで海外でも出版されています。
作者の安野光雅(あんの・みつまさ)さんは、この本の他にも、数多くの仕掛けのある絵本を手掛けている巨匠。他の作品も、機を見て紹介していきます。 (Lixy/ASOBIDEA)
2014.6.9