ASOBIDEA

6 不可能物体 - その2 最初のつくりかた

私が初めて不可能物体を見たのは、今から二十数年前の中学生時代です。

テレビで「ビン詰めトランプの第一人者」としてハリー・エン(Harry Eng)という人が紹介されていて、トランプだけでなく、テニスボールや靴などといった様々なものがビンの中に入っていました。

その番組を見て「不可能物体を作りたい」と思った私は、適当なビンと、そのビンの口より1~2ミリ大きい直方体の木材を見つけ、木材をビンの中に入れました。

そのとき私は、どのようにして木材を中に入れたと思われますか?

当時の私は、ビンの中に木材を、チカラで む り や り 押し込んだのです。何の道具も使わずに。

押し込んだ木材は、ビンを逆さにしても出てこなかったので、元の大きさまでは戻らなかったにせよ、ビンの口よりかは大きく戻ったのだと思います。

ただ、無理矢理チカラで解決できたのは、ビンの口がすぼんだ形をしていたことと、ビンの口径よりわずかに大きい木材だったこと、そして偶然にも使った木材の相性がよかったからです。

もちろん今では、このような力技で解決することはありませんが、不可能を可能にする楽しさは、パズルを作ったり解いたりすることで得られる達成感とはまた違うので、興味をもたれた方は一度作ってみてはいかがでしょうか? 楽しいですよ。

次回は、違うテーマに移ります。お楽しみに。

(つづく)

プレゼント企画、終了しました。

前回の記事に登場した、田守さん作の「世界最古のビン詰めトランプ」。この現物をプレゼントする企画がありました。

抽選は無事に終わりましたが、おかげさまで(少なくもない)反響をいただき、スタッフ一同とても感謝しております。

この企画に参加してくださったみなさん、このたびは本当にありがとうございました!

田守 伸也
和歌山県生まれ。雑誌・テレビ・企業に問題提供する神出鬼没のパズル作家。名前以外、これといった特徴なし。