3 「でんしゃ」

今回は、間瀬なおかたさんによる『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』を紹介します。

電車の中には、さまざまな家族に混ざって、
著者の間瀬さんご本人も描かれているそうです。(クリックで拡大します)

帯の文章「前からのうしろからも読める!! 一冊の絵本で楽しさ2倍」が、この本の面白さを端的に表現しています。

『でんしゃでいこう』は「やまのえき」から始まります。駅を出た電車はやまのむらを走り、トンネルに入ります。その次は雪野原、またトンネルと、トンネルを抜けるたびに、違った風景の中を走りぬけます。冬の山、秋の海辺、菜の花畑と季節も変わりながら、電車は「うみのえき」に到着します。

さて、「うみのえき」についたら、次は『でんしゃでかえろう』のスタート。逆にページをめくることで、「やまのえき」までの旅を楽しめます。

この、前からも後ろからも読める絵本を支えているのが、巧妙に描かれた電車の絵と風景、そして添えられた文章です。特に、どちらにも走っているように見える電車の絵は、ページをめくることで進行方向を勝手に決めている人間の感覚を、上手に利用するよう描かれています。

他にも、電車の中の家族を観察するもよし、景色の中の人や建物を楽しむもよし、「デデンドドン」「デデンゴゴー」「デ デドド」と場面に応じて微妙に変わる電車の音を楽しむもよし、さまざまな楽しみ方を発見できます。

1ページごとにトンネルに入り、そのトンネルの入り口・出口には穴が開いていて、次のページの景色がちらりと見えているのも、読み手にリズムをあたえ、心をくすぐる仕掛けです。何回か往復しているうちに、「トンネルをぬけると~ ゴォ~」という言葉を子供が口にするようになるかもしれません。

大型絵本は50cm×50cm。通常版の倍のサイズだが、それ以上に大きく見える。

この本は、図書館などにいくと、大型絵本でも見ることができます。大型絵本だと、気分は乗客。細かいところまでよく見えるので、風景も存分に楽しめます。

7年ぶりの続編なので、電車の乗客も前作と同じ人たちの7年後を描いているそうです。
もちろん、間瀬さんも帽子をかぶって乗っています。(クリックで拡大します)

著者の間瀬さんは、このほかにも「あめのひのえんそく」「ドライブにいこう」「バスでおでかけ」「ゆうびんで~す」など、「のりものしかけ絵本」シリーズで、さまざまな乗り物と風景を描いた絵本を手掛けています。

2008年には、『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』の続編となる、『パノラマえほん でんしゃのたび―やまからうみへ』を出版。トンネルのシーンがなくなってしまっているのは残念ですが、前作とは違う風景の中を電車は行った り来たり、風景もすべて見開きのワイドページとなり、見ごたえ十分です。 (Lixy/ASOBIDEA)

今回の絵本
  • 『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』
  • 作・絵 間瀬なおかた
  • 出版社 ひさかたチャイルド
  • 発行 2002年1月(通常本)、2005年1月(大型本)

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  • 『パノラマえほん でんしゃのたび―やまからうみへ』
  • 作・絵 間瀬なおかた
  • 出版社 ひさかたチャイルド
  • 発行 2008年4月

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