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『まさかさかさま』

前回、海外の絵本の中から「逆さにしても読める本」をいくつか紹介しましたが、今回は同じトリックを含んだ日本の絵本を紹介します。

イラストレーター及びグラフィックデザイナーとして、さかさ絵・さかさ文字を主に研究している伊藤文人さんの『まさかさかさま』です。

表紙・裏表紙を合わせて12枚のさかさ絵を楽しむことができる。

表紙の絵を見てみましょう。「どういうわけか きょくげいの へびがいうこと きかないぞ よるのサーカス どうしよう」と、“言う事を聞かない蛇に頭を痛めているサーカス団長”のイラストですが、これを180度回転させるとあら不思議。「マフラーまいた たびびとの ぼうしにとまった あおいとり さむさがすこし やわらいだ」ということで、“帽子に鳥がとまったマフラーをしている旅人”のイラストに早変わり。絵本の中でも、こんな感じで続きます。

上にしたり下にしたり、くるくる本を回しながら絵を楽しんでいると、どっちに読み進んでいるのかもわからなくなってきますが、心配ご無用。強いストーリー性はないので、それぞれの絵をゆっくり楽しんでください。中には、少し難しいものもありますが、それを読み解くのも一つの楽しみ。子供だけでなく大人も楽しめる絵本です。さかさ絵もさることながら、七五調で書かれている文章もリズム良く楽しめます。

これまでに発売された「まさかさかさま」シリーズ

『まさかさかさま』の出版を皮切りに、同じく新風舎から『まさかさかさま その2(2000年)』、『まさかさかさま その3(2001年)』、『まさかさかさま その4(2002年)』、『まさかさかさま その5(2004年)』、『まさかさかさま ふしぎサーカス(2005年)』、『まさかさかさまキッズ おかしななかまたち(2007年)』と計7冊を出版。2003年には小学館からも『さかさええほん みらくるくるくる』が出版され、さかさ絵を描く方法も解説してくれています。これら8冊は残念ながら一度は絶版となったものの、サンマーク出版から、内容はそのままでタイトルを変えて全巻が復刊されています。新旧の対応は、最後にある「今回の絵本」をごらんください。

表紙・裏表紙を合わせ、14枚のさかさ絵を楽しむことができる。

上記のシリーズに加え、ちょっと変わったものとしては、2002年に出窓社より出版された、ニット絵を用いた「編みメーション」の第一人者である、やたみほさんとの共著『さかさもさかさ』があげられます。この絵本、なぜか文章は日本語と英語で併記されています。

また、絵本とは少し離れますが、伊藤文人さんは、さかさ絵以外にも、数多くのトリック アート作品を生み出されており、それらの一部は2009 年にナナ・コーポレート・コミュニケーションより出版された『きてれつ箱』で見ることができます。「まさかさかさま」シリーズの元になったと思われる作品は、1993年に福井県三国町で行われた「第1回トリックアートコンテスト」で奨励賞(平面部門)を受賞、1999年の全国巡回展「M.C.エッシャー生誕100年に捧げる 超感覚ミュージアム」で入選しています。

まだまだ、この手の絵本はあるのですが、今回はここまで。次回は違ったタイプの絵本を紹介します。 (Lixy/ASOBIDEA)

今回の絵本
  • 『さかさ絵本 まさかさかさま』
  • 絵・文 伊藤文人
  • 出版 サンマーク出版
  • 発行 2008年6月

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※「まさかさかさま」シリーズ 新旧の対応:

  • 旧 「まさかさかさま」 → 新 『さかさ絵本 まさかさかさま』
  • 旧 「その2」 → 新 『さかさ絵本 まさかさかさま 緑の巻』
  • 旧 「その3」 → 新 『さかさ絵本 まさかさかさま 赤の巻』
  • 旧 「その4」 → 新 『さかさ絵本 まさかさかさま 青の巻』
  • 旧 「その5」 → 新 『さかさ絵本 まさかさかさま 黄の巻』
  • 旧 「みらくるくるくる」 → 新 『さかさ絵本 まさかさかさま 虹の巻』
  • 旧 「ふしぎサーカス」 → 新 『ふしぎサーカス まさかさかさま』
  • 旧 「おかしななかまたち」 → 新 『まさかさかさま おかしななかまたち』
  • 『さかさもさかさ』
  • 作・文 伊藤文人
  • ニット絵 やたみほ
  • 出版 出窓社
  • 発行 2012年12月

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  • 『きてれつ箱』
  • 作 伊藤文人
  • 出版 ウィズワークス株式会社 (旧ナナ・コーポレート・コミュニケーション)
  • 発行 2009年6月

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