パズルの中には、様々な形のピースを組み合わせていろいろな形を作る「シルエットパズル」というものがあります。そんなシルエットパズルによる遊びが含まれている絵本を紹介します。
最初は、数々のトリックアートを生み出しているグラフィックデザイナー、福田繁雄さんが1999年に出版した絵本『ぼくとぼく』。
図下はカプセル型のタマゴをした「ぼく」。
赤いタマゴの「ぼく」と緑のタマゴの「ぼく」が、それぞれ違った動物や魚やロケットの形になるうちに、だんだん相手の才能に気付いてきます。そして、ついに二人で同じハートを作り二人の心は一つに、最後は仲のよい友達になったという、すてきなお話。
「ぼく」達はカプセル型のタマゴ。そのタマゴを10片に分割したものを並べ替えて、様々な形を作ることで物語が進みます。シルエットパズルの特徴をうまくストーリーに取り込んだ、グラフィックデザイナーならではの意欲作です。
次は、高田桂子さん・木曽秀夫さんによる『すがたかえ』です。
表紙・裏表紙にある、かぶと・からす・てんぐのお面は、
どれもタングラム(図下)で作られている。
使われているのは、シルエットパズルの中で非常に有名なタングラム。正方形から切り出された7片で様々な形を作ることができます。上述の『ぼくとぼく』ほどシルエットパズル自身に重きはおかれていませんが、絵本の中には約10種類の形が描かれています。
入ってしまうと姿がかわる伝説のぬけ穴が現れた。入口村からは村長の孫がぬけ穴に飛びこんだ。出口村からは知らない女の子が飛びこんだ。はてさて、どうなるか? というストーリー。同コンビの前作『からからからが…』(1977年刊)、『あれからそれから』(1980年刊)と続く一連のストーリーを楽しむことができます。
最後は、ノンフィクション作家として著名な沢木耕太郎さんの文章に、グラフィックデザイナー・イラストレーターである和田誠さんが絵を添えてできた絵本『いろは いろいろ』です。
「いろ」は、たくさんあって、みんなちがう。けど、どれもたいせつな「いろ」。という沢木耕太郎さんのメッセージを、和田誠さんが「色と形が違う9個のピースが、最後に組み合わさって一つの家となる」という形で表現しています。
これらの絵本を見ていると、シルエットパズルと絵本の相性はよく、書き手の工夫次第で様々な絵本ができるのではないだろうかと今後も期待してしまいます。 (Lixy/ASOBIDEA)