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「へんしん」

これまで主に「絵」の面白さに注目して紹介してきましたが、これから何回かは「言葉」を主題にした面白い絵本を紹介します。

その最初は「へんしん」シリーズ。アニメにもなっている『はなかっぱ』や『パンツぱんくろう』など、多くの作品を産み出している絵本作家のあきやまただしさんが2002年から発表しています。

シリーズ第1作目『へんしんトンネル』は「ふしぎなトンネルがありました。そのなもへんしんトンネル。このトンネルをくぐると、なぜか、へんしんしちゃうんです。」と始まります。そのトンネルに、かっぱが「かっぱかっぱかっぱ……」とつぶやきながら入っていきます。そしてトンネルをくぐると……ぱかっぱかっぱかっ……元気な馬になって飛び出してきます。同じルールで「とけい」は「とけい・とけい・とけいとけいと・けいと・けいと」と「けいと」に、「ボタン」は「ぼたん・ぼたん・ぼたんぼたんぼ・たんぼ・たんぼ」と「たんぼ」に、こんな言葉遊びが続きます。

この本を読むときに一番大事なのは声に出して読むこと。言葉のリズム感や、絵の親しみやすさ、かわいさもあいまって、言葉自体や「変身」の意味をきっちりとは理解していないであろう一歳や二歳の子供でも楽しめます。

これまでに出版された「へんしん」シリーズ14作

『へんしんトンネル』からはじまり、『へんしんマラソン』『へんしんトイレ』『へんしんオバケ』『へんしんコンサート』『へんしんとびばこ』『へんしんプレゼント』『へんしんマジック』『へんしんクイズ』『へんしんマンザイ』『へんしんかいじゅう』『へんしんおんせん』『へんしんレストラン』『かえってきたへんしんトンネル』とこれまで14作を出版、そのうち『へんしんトンネル』と『へんしんオバケ』の2作は大型絵本としても出版されています。

シリーズを通して、かっぱんくんやきんぞうさんといったキャラクターを常連として登場させながら、作品毎にマラソンやトイレ、マジックといった舞台を変え、それぞれに合った言葉と絵で楽しめます。変身に用いられる言葉も、「パンジー」「たいほう」「やたい」という一般名詞以外に「こらっ」「ぼとん」「びえー」といった擬音語、「なおと」「かずお」「しんじ」といった人名も使われており、言葉遊びに幅を持たせています。

中でも極端なのが『へんしんかいじゅう』で、「どんぐり」が変身して怪獣「ぐりどん」に、「ごんべえ」が怪獣「べえごん」に、「ぶーちゃん」が怪獣の王様「ちゃんぶー」にと、独創的な姿の怪獣が描かれています。これら様々な言葉と絵の合わせ技が、このシリーズを読むときの楽しみでもあります。

最新作の『かえってきたへんしんトンネル』の裏表紙には、かっぱくんが「ばいば~い」と手を振っているので、これがシリーズ最後の作品なのかとも思いながら、もっと続いてほしいという期待から次作を楽しみにしてしまいます。

さらに最近になって、ことばあそびをテーマにした「へんしんかるた」や玩具「へんしんポスト」も発売されており、「へんしん」シリーズの楽しさを絵本とは違った形で楽しむことができます。「へんしんポスト」では、上の口から入れたカードが下の口から裏返って、言葉も変身して出てくるというちょっとした仕掛けも楽しめます。

今回はここまで。また、かいじ。かいじかいじかいじかいじかいじかい……次回。
(Lixy/ASOBIDEA)

今回の絵本
  • 『へんしんトンネル』
  • 作・絵 あきやまただし
  • 出版 金の星社
  • 発行 2002年9月

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※ そのほかの「へんしん」シリーズ絵本(以下、すべて金の星社)

  • 『へんしんマラソン』(2005年9月)
  • 『へんしんトイレ』(2005年2月)
  • 『へんしんオバケ』(2006年6月)
  • 『へんしんコンサート』(2006年10月)
  • 『へんしんとびばこ』(2007年7月)
  • 『読みきかせ大型絵本 へんしんトンネル』(2007年9月)
  • 『へんしんプレゼント』(2007年10月)
  • 『へんしんマジック』(2008年9月)
  • 『へんしんクイズ』(2009年5月)
  • 『へんしんマンザイ』(2010年8月)
  • 『へんしんかいじゅう』(2011年11月)
  • 『へんしんおんせん』(2012年8月)
  • 『読みきかせ大型絵本 へんしんオバケ』(2012年10月)
  • 『へんしんレストラン』(2013年9月)
  • 『かえってきたへんしんトンネル』(2014年7月)