今回も、前回に続いて「しりとり」を用いた絵本を紹介します。
まずは、詩人の谷川俊太郎さんと、画家・漫画家のタイガー立石さんによるコンビで描かれた絵本、『ままです すきです すてきです』。
表紙には、タイガー立石さんのサインであるペンローズの三角形が描かれている。
裏表紙には、メビウスの帯・不可能図形なども描かれている。
前回の三冊は単語をつないでのしりとりでしたが、この絵本は文節をしりとりでつないでいる絵本です。タイトルの文章が含まれている見開きのページは「ちくおんき きく くま ままです すきです すてきです」、続いて「すてーき きらいな なまけもの のりまき きった たべよかな」というように進みます。
脈絡があるようでないようで、読んでいて心地よいリズムがある、谷川俊太郎さんの詩的なしりとりに、鮮やかな色彩と、摩訶不思議な力強さを備えたタイガー立石さんの絵がぴったりマッチ。鬼の子が様々な世界を旅するという流れに沿って、1ページ1ページに独特の世界が描かれています。
独特のタッチのイラストなので好みが分かれるかもしれませんが、それは大人の考え。子供はコワーイ、けどミターイ、オモシローイと、描かれている自由な世界を純粋に楽しむようです。
次はサトシンさんと高畠那生さんによる『せきとり しりとり』。西村敏雄さんとのコンビ作『うんこ!』で有名になり、「おてて絵本」の活動をしているサトシンさんと、親子二代の絵本作家である高畠那生さん。二人が組んだ作品だけあり、絵・ストーリー・ことばの仕掛けなど、細部までしっかり作りこまれた絵本です。
表紙の絵も迫力がありますが、中の絵もド迫力。文章に注目すると、『ままです すきです すてきです』が文節ごとだったのに対し、こちらは文章ごとにしりとりが行われています。「せきとりけいこにせいをだす→すごいなげわざばっちりきまる→るんるんきぶんで、いいちょうし……」といった具合。リズミカルな文章と迫力の絵で、せきとりの場所中の一日を楽しむことができます。
裏表紙は、しりとりで一周できるように。
さらに2014年、高畠那生さんは、新井洋行さん・鈴木のりたけさん・よしながこうたくさんとの合作で『おえかきしりとり』を発表しています。タイトルの通り、絵によって言葉がつながっていくというもの。しりとり→りんご→ゴリラ→ラッパ→……という定番で始まるしりとりは、徐々に難易度がアップ。途中には細かい遊びやダジャレ、ひっかけなども入りながら展開していきます。
四名の作家さんが順番に描いて行く、たくさんの絵とストーリーは、子供だけでなく大人もわくわくさせてくれます。ちなみに、こちらのページで、作者四名による創作秘話を読むことができます。
最後にもう一冊。2013年に発行された、亀山達矢さんと中川敦子さんによる創作ユニット tupera tupera(ツペラ ツペラ)による『うんこしりとり』。
帯には「このつくうんこをだしきろう!」、ページをめくると、こいぬのうんこ→こうしのうんこ→こどものうんこ→こうちょうのうんこ→……と、説明は不要ですよね。こちらのページでは、子供たちによるたくさんの創作「うんこしりとり」を見ることもできます。
以上、特徴的な四冊を紹介しましたが、今回はここまで。他にもご紹介しきれないほど、「しりとり」をテーマにした絵本はあるのですが、それはまたの機会に。
次回は、違うタイプの言葉遊び絵本をお届けします。