前回から少し間があいていましたが、穴あき絵本の3回目は、イラストレーターであり絵本作家でもある、よねづゆうすけさんの絵本をまとめてご紹介します。
ページをめくると、見開きに様々なたべものが描かれており、右ページの下半分や右半分が折り返しになっています。その部分を開くと……なんと、動物の姿が。よく見ると、たべものの一部が動物の一部になっていたのです。例えば、上の画像をよく見ると……「とうもろこしの葉っぱ」が「ワニの口」に似ていませんか?
パンやチーズ、くり、にんじん、かぼちゃなどが、それぞれ動物に変化。シンプルな仕掛けから生まれる大きな変化と、その中に隠れている一致がこの絵本の醍醐味です。太い線とはっきりした色で描かれた絵から赤ちゃん向けの絵本のように見えますが、大人も十分楽しめる内容になっています。強いストーリー性は無いので、どこのページをめくっても楽しむ事ができます。
日本では2012年に出版されたのですが、2011年にスイスのminedition社より出版された『Guess What-Food?』の邦訳版となるようで、逆輸入とでもいうのでしょうか。よねづさんの絵本は、海外で発表された後に日本語版が出版されるケースが多いようです。
この「だーれ?」シリーズは『たべもの だーれ?』以外に3冊あって、『くだもの だーれ?』(英題『Guess What-Fruit?』)、『おはな だーれ?』(英題『Guess What-Flower?』)、『おかし だーれ?』(英題『Guess What-Sweetie Time?』)が発表されています。
次は、「だーれ?」シリーズより前に発表された『のりものつみき』(英題『Moving Blocks』)です。
まず、四角や丸の積み木が敷き詰められたページに「のりものつみき、つみきで のりもの なに つくる?」。そこでページをめくると「ブーン ブーン!! つみきじどうしゃのできあがり」となって、自動車が現れます。そこに現れるのがバスだったり、電車だったり、いたってシンプルではあるのですが、何度もめくってしまう楽しさがある絵本です。
最後は『りんごは いくつ?』(英題『Five Little Apples』)。
「りんごが5つありました」から始まるページには、5個のリンゴと「5」という数字が描かれています。ページ右半分のしかけを開いたら……なんと、ぞうが現れます。よくみると、5という数字の一部がぞうの一部になっていました。「ぞうさんが1つたべると、りんごはいくつ?」「りんごは4つになりました。」と続きます。4 → 3 → 2 → 1 → 0と減っていく、りんご。これが最後にどうなるのかは、実際に読んでのお楽しみです。
よねづさんの絵本は、親しみやすいかわいい絵柄と内容、シンプルな仕掛け。アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、オランダ、ロシア、フィンランド、ギリシャ、南アフリカ、日本、韓国、台湾と、多くの国で楽しまれているそうです。
今回は、特に面白いと感じた穴あき絵本を6冊紹介しましたが、よねづさんは他にも穴あき絵本やしかけ絵本をたくさん発表されています。興味を持った方は探してみてください。