凧とパズルと判じもん

岩瀬 尚行
学校教諭を経て、2001年に京都でパズル工房「葉樹林」をスタート。立体パズルを創作・販売するかたわら、パズルの楽しさを広める活動を続けている。

鳥居 勝久
滋賀県東近江市にある、世界凧博物館 東近江大凧会館の学芸員。凧に関するイベントの企画・運営に加え、さまざまな展示会の仕掛人としても活躍している。

3 さわって遊べる

鳥居
それから、子供たちにとって、「パズル」という言葉は「楽しい」というイメージにつながったのかもしれませんね。
岩瀬
うん。
鳥居
ただ、来てみてビックリだったとは思うんですが(笑)。
岩瀬
その認識が違うんですよね。普通の人が持っている「パズル」の感覚と、今こうしてやっているものに、だいぶギャップがあるんだと思いますよ。
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まぁ、世間的には「ジグソーパズル」か「クロスワードパズル」でしょうね。あと、知恵の輪がギリギリ出てくるくらい。
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ところで、アンケートには他にどのようなことが書かれていたんですか?
鳥居
「楽しい」というのが多いし、「難しかった」というのも結構あります。前回だったか、「パズルを常設されたらどうですか」という意見もありました。
岩瀬
(笑)
鳥居
それだけ反応が良かったんですよ。
とくに今回は、かなり体験教室をやったんですが、「親子で楽しめた」とか、全体的に「良かった」という意見が多いです。まぁ、これは来年へのプレッシャーでもあるんですけど(笑)。
岩瀬
それと、ひとつパズルが大きいのは、たぶん、遊べるという、手にとって、どうこうできるという部分じゃないかと思いますね。いじくり回すことができるのは、やっぱり大きな違いでしょう。
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そうですね。
鳥居
最初のうちは、団扇にしても、竹の玩具にしても、触らずに見る方式だったんです。
けど、パズルをやってから、「ここに来たら常に何か遊べる」ということが(お客さんの)頭に入ってしまっているんですよ。だから、展示会の中で「触って遊べる」というのは、どうしても外せない状態になってます。
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資料展示のみは、ちょっと難しいと。
鳥居
ええ。あとの時期は良いと思うんですけど、夏休みには子供向けの展示が外せなくなったということですね。市民の方が期待してますから、だんだんとプレッシャーがかかってます(笑)。
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触って遊べるものとなると、それなりに題材は制限されるかもしれませんね。
岩瀬
うん。
鳥居
コマもやりましたし、お面にしても「お面づくり」という方法があったんですが、なかなか体験教室というのは大変です。というのも、今回のパズル工作は広い部屋でやってもらいましたけど、三年に一回は百畳の凧を作るんですよ。
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鳥居
今年と来年は広い部屋を使えるんですが、その次の年は百畳の凧を作るので、夏休みに広い部屋が使えないんです。
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なるほど。あの部屋は、そもそも百畳敷の凧を作るための場所なんですね。
鳥居
だから、三年に一回は、体験教室がないような展示会にする必要があるんです。
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でも、展示会の題材さがしって、大変でしょうね。
そういう情報って、どうやって集めてくるんですか?
鳥居
ひとつは、出会った人からの情報。
もう一つは、新聞などのメディアを通じて、どういう人がいるかをチェックすること。
滋賀県の情報はここに送ってくるので、だいたい入るんですよ。
あと、県外の情報は入らないので、たとえば博物館に行ったら、とりあえず置いてあるチラシをひととおり見ますね。
岩瀬
人脈はすごいですよ、マメやからね。実際に足を運んでる。
トリト※にも行ってるんだから(笑)。
※都内のパズル専門店、パズルショップ・トリトのこと。
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そんな、遠くにも。
鳥居
それもね、岩瀬さんの話とかしてますから(笑)。
岩瀬
たとえ情報として知ってもね、マメに行くということには、なかなかならない。
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ネットの情報のみになりがちですけれども。
鳥居
やっぱり、足を運ぶというのが、ね。
まぁ、そのために上京しているというわけではなくて、東京へ出張する機会がありますので。それでも、事前には計画しますけど。
(つづく)