第6回 錯視図形「ルビンの壺」で広告づくり

今回は、錯視の基本に戻ってみましょう。何が基本か、特に明確なわけではないのですが……。

よく知られている錯視図形のひとつに、「ルビンの壺」というのがあります。中央の部分に注目すると「壺」のように見え、その両側に注目すると「向かい合う二人の横顔」に見えるもので、みなさんも一度ぐらいは見たことがあるのではないでしょうか。

それを応用した、わかりやすい広告の例をまずご紹介します。

キヤノンの広告で、キャッチフレーズは "For Every Point of View"。直訳すると、「すべての視点のために」ですから、カメラの広告らしい仕上がりですね。

同じように「ルビンの壺」を応用したデザインを探すと、日本の広告に素敵なものが見つかりました。

キャッチフレーズは「人と人のあいだに」。宇治茶の広告ポスターです。解説するのも野暮ですが、左の人が笑っているのがいいですよねぇ。

続いて紹介する2点は、どちらも映画ポスター。中央の「壺」が、それぞれ「聖杯」と「りんごの芯」に変わっています。

邦題は「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」と「白雪姫」ですね。このポスター2点は、"minimalist movie posters"=「最小限の表現で作る映画ポスター」というジャンルで制作されたものです。確かに、シンプルなデザインでうまく映画の内容を表現しています。

さて、この "minimalist movie posters" というのは、実は錯視デザインの宝庫(?)なんですよ。シンプルさと錯視デザインの相性が良いからでしょう。

次回は、他の錯視応用・映画ポスターをいろいろご紹介しようと思っています。お楽しみに。