第12回 最小の要素で、最大のコミュニケーションを

今回は、つい最近出された、海外の広告シリーズをまずご紹介しましょう。

この広告を最初に見た瞬間、私は「あ、ノーマ・バー(Noma Bar)の新作だ」と思いました。ノーマ・バーが何者かは、後で説明しますが、それほど良く似た手法のビジュアルだったのです。

ま、見てみましょう。シンプルな絵柄の中に、2つの意味をもたせています。

説明すると野暮ですが、「食事」と「ラグビー」ですね。広告主は「Hard Rock Casino」という大型娯楽施設。

で、このポスターでは、レストラン&バーと、スポーツ観戦の大型スクリーンをアピールしているわけです。

これは「食事」と「ライブ・ショー」。大型施設なので、先ほどとは違うポイントを紹介してます。

次は「ライブ・ショー」と「ホテル」。どのビジュアルも、巧みに2つの意味をこめたものになっています。

うまいなあ~と思いながら、この広告を作ったスタッフの名前を見てみると、私が最初に連想したノーマ・バーという名前はありませんでした。違うデザイナーの作品だったのです。


で、ここからは、そのノーマ・バーという人の説明を少し。

彼は、イスラエル出身の有名なデザイナー&アーティストで、数多くの作品を広告や書籍カバーに発表・提供しています。作品の信条は、"After the maximum communication with minimum elements" 「最小の要素で、最大のコミュニケーションを」というもので、シンプルな絵の中にいくつもの情報をトリッキーに組み込む作風なんです。「Noma Bar」で検索して画像を見ていただければ、彼の驚くほど多くの素敵な作品に出会えるでしょう。

せっかくなので、少し古い作品ですが、彼が手がけた広告を2つほど紹介しておきます。

英文を読めば、広告の内容はだいたい分かっていただけると思います。

本当にうまいですよねえ~。トリック・アドの巨匠だなあ~と、個人的には思っている作家さんであります。