第20回 わたし、回文ぜんぶ活かしたわ

タイトルにある「回文」とは、上(前)から読んでも下(後)から読んでも同じである文。言葉遊びの一つとして、よく知られているものですね。

回文は英語で palindrome といい、やはり古い歴史のある言葉遊びなのですが、これを活用した広告というのは数が少ないようです。うまく商品などに結び付けられないからでしょうか。

それでも、二つの広告シリーズを見つけましたので、今回はそれをご紹介してみましょう。英語の回文も、なかなかに面白いですよ。

"No devil lived on."「悪魔は住まず」。
文字だけを目立たせたいシンプルなデザインですね。広告主はフィアット。商品は「前進も後進もまったく同じようにできるパーキングセンサー」でした。

同じシリーズからもう一つ。

"Star comedy by democrats."「民主主義者による宇宙コメディ」。
このシリーズには "Murder for a jar of red rum."「一瓶の赤ラム酒のための殺人」というのもありました。

次の広告は同業種の車メーカー、メルセデス・ベンツによるものです。

"Was it a car or a cat i saw"「あれは車か、私が見た猫か」。
車と見間違うネコって……と、状況を思い浮かべてしまうのが回文の楽しいところですね。商品は「前も後も見られるリバーシングカメラ」。

"Spots on no stops"「停止できない場所」。
ベンツの広告シリーズはこの他に四つあるのですが、ビジュアルが同じなので、後は回文だけの紹介にします。なお、言葉遊びですので、厳密な和訳はできてないと思います。ご了承の程を。

  • Pots never ever even stop 「一度たりとも止まろうとしないポット」
  • Won't i panic in a pit now 「いま穴の中でパニックにならないか」
  • Ah a mayan on a yamaha 「ああ、ヤマハに乗ってるマヤ人だ」
  • Pets a smart trams a step 「スマートな乗物の踏み段のペット」

英語の回文、いろいろあるものですね。
さて、もうお気づきだと思いますが、今回のタイトル「わたし、回文ぜんぶ活かしたわ」も回文になっています。作るのにちょっと苦労しました(笑)。

日本の広告でも、ヘッドコピーを回文にしたものが過去に数多く作られています。次回は、そのあたりを紹介してみたいなあと思っています。乞うご期待。