さまざまな文字遊びを紹介している、このコーナー。今年度も変わらずに続けていきますが、4月から所属や環境が変わった方も多いことでしょう。そのタイミングで、こんなものを新調することだってあるはず。
範囲の広いテーマです。選択肢は数限りなくあって、何が飛び出すのか楽しみですね。
ということで、最初の登場はkawaharさんから。
© 2016 kawahar
とてもシンプルに「はさみ」。ナナメに見ると、全体が左右対称になっているのがわかります。文字の丸い部分がハサミの柄を思わせて、かわいらしい雰囲気。それでも、配置は微妙に工夫されていて、ちょっと動くと崩れるような繊細さを持っているのです。
さて、かわいらしい文具というと、こういったものも。
© 2016 意瞑字査印
意瞑字査印さんの「クレヨン」は、上下を逆さまにしても同じ形。クレヨンの懐かしさと相まって温かみも感じますが、冷静に観察すると、けっこう大胆な形をしています。逆さ文字の手法を知る上でも、しっかり見ておきたい図案です。
今度は、事務用品の代表格のような、あの文具。作者は、まっしーさん。
© 2016 まっしー
ワイヤーを曲げて書かれた「clip」はクリップのことで、180度回転させても同じように読めます。しかし、筆記体にすれば最初からアンビグラムになる、と思うなかれ。当たり前のように見えても、やっぱり細やかな調整がなされているのです。
続いては、薄くて色とりどりのアレです。
© 2016 igatoxin
igatoxinさんの「折り紙」は、全体が左右対称となるデザイン。「折り」が反転して「紙」になるという、意味的にも面白い関係になっています。文字そのものにも、どこかカリグラフィーのようなニュアンスがあって、とても洗練されたアンビグラムです。
最後の登場は、Hiroshiさん。これ、何に見えますか?
© 2016 Hiroshi
「エンピツ」でありながら「コンパス」にもなるという、トリッキーな図案。実際に鉛筆を使用するタイプのコンパスもありますので、その意味でも納得。右下の部分をどう捉えるか、そこが意味の分かれ道でしょうか。見る側の柔軟性も試される意欲作です。
それでは、これで今月は終わります。ご協力くださった作家のみなさん、ありがとうございました。また月の終わりごろにお会いしましょう。