そろそろ、今年も終わりを迎えます。この時期らしいテーマは数多くありますが、今回は少し変わった題材をチョイスしました。こちらです。
テレビの世界にヒントを得たのですが、文字遊びのテーマとして、どんな可能性があるのか、興味ある題材とも言えますね。
さて、最初にお見せするのは、アルファべットを用いた図案です。
© 2016 Miwa Miwa
久々の登場となる、アソビディアの三輪による「NINJA」。お気づきのとおり、忍者の顔も含め、全体を逆さまにしても変わりません。アンビグラムとしては標準的ながら、装飾のように見える星印が文字の一部として機能するなど、細部にも仕掛けがあります。
そして、同じモチーフで文字が変わると、こうなります。作者は、まっしーさん。
© 2016 まっしー
とてもシンプルに「忍」の一文字。今度は漢字ですが、やはり上下を反対にしたところで形は変わりません。刀を思わせるパーツは文字の一部になり、向きによって他方が切り離されるように見えます。大胆さと微妙な調整とが重なり合う秀作です。
さらに、漢字一文字の作品が、もう一つ。
© 2016 igatoxin
igatoxinさんの「銭」も、なかなか大胆に作られた図案です。やはり逆さまにしても同じになりますが、それを成立させるために文字の一部を変形させていますね。それでも、きちんと読めてしまう。そんな構成の力に驚きを感じました。
では、これが最後の作品です。何と書いてあるでしょう?
© 2016 kawahar
これは、kawaharさんによる「百万石」。どの字も米俵が組み合わさっていて、石に一つ加えると百になり、一つ減らすと万になる関係になっています。ブロック遊びの楽しみというか、パズル的な面白さの詰まった、アイデアあふれる図案ですね。
というわけで、これにて今月は(そして今年の連載も)終わりです。ご協力くださった作家のみなさん、ごらんになっている読者のみなさん、本当にありがとうございました。次回は年明け。どうぞ、良いお年をお迎えください。