ゆっくりと春の印象を強めながら、新しい年度に近づいている、この三月末。これを機会に、新たな生活をスタートすることもあるでしょう。
そうした変化のスイッチになるものとして、こんなテーマを用意してみました。
世に職業は数あれど、ここでの文字あそびに登場するものは、ほんの少し。図案的には、漢字で書くか、英字にするか、カタカナか、その判断も重要ですね。
今回のトップバッターは、kawaharさん。
© 2017 kawahar
とてもシンプルに「棋士」。ごらんのとおり、全体として上下をひっくり返しても変わりません。いわゆる点対称。非常に単純ではありますが、それだからこそ印象的で、まさにアンビグラムの基本を感じさせる図案ですね。
続いての職業も、やっぱり漢字。
© 2017 igatoxin
igatoxinさんの「自衛官」は、こちらも点対称。とくに、両端の字が逆さまに結びつくことに驚きました。こういう機会がなければ気付かないところですが、独自の工夫で見事に乗り越えています。
さらに、これまた漢字の職業。作者は意瞑字査印さん。
© 2017 意瞑字査印
素朴に「漫画家」とありますが、やはり全体を180度だけ回転させても同じなのです。この味わいある書きぶりと、点対称のトリックとが見事に両立。漫の字の「さんずい」や、画の字の形状など、見どころも随所にあります。
そして、おしまいはアルファベット。まっしーさんの作品です。
© 2017 まっしー
「EDITOR」は編集者のこと。こうして、上下を逆さまにしても同じように読めるのは、細部の微妙な調整があればこそ。以前にご紹介した「英字は上の方で認識されやすい」という、ワークショップでの話を思い出します。
さて、今月はすべて点対称の作品でした。ご協力くださった作家のみなさん、ありがとうございました。次回は新年度。いつものように、月末ごろの登場です。