第24回 これは「漢字」かな?

まずは、この広告の写真を見ていただきましょう。

一見、漢字のロゴのように見えますが、どうも普通には読めません。

ここで「実はこれ、アルファベットなんですよ」と耳元で囁かれたらどうでしょう? するとあら不思議、なんだか読めてきそうです。

一番目はH、二番目は無理があるけどEかな……と読み進めれば、HEINEKEN(ハイネケン)。有名なビールの名前になりました。
"Serving the planet."「世界中でお出ししています」ということで、漢字圏の国にも供給していることをアピールするビール広告だったわけです。

次に紹介するのも、読めない漢字が大きく書かれた雑誌広告です。右下にあるハンコも、よく分かりませんね。

実は、全体を横に倒して見るものでした。

太い筆文字は「EASY」、ハンコの文字は「VERY」。中国との商取引をvery easyにしますよ、という海外取引仲介業者の広告です。

さて、今までは「読めない漢字」でしたが、次は「読める漢字」が登場します。ぱっと見たところは漢字の「馬」ですが……。

じっくり見ると、この漢字は「HORSE」というアルファベットで出来上がっています。なかなか見事な仕上がりですね。これは商品が面白くて、文字をなぞるだけで漢字を英語に翻訳してくれる、自動翻訳ペン。

シリーズ広告にもなっていて、他に二つ「漢字=英語」の文字が作られています。

解説するのも野暮ですが、「恨」と「HATE」、「全」と「ALL」ですね。

こういう、二つの言語にまたがって二通りに読める文字は、広い意味で「アンビグラム」と言えるのではないでしょうか(アンビグラムについては、第16回でご紹介しています)。

ことば遊びとデザインが融合した、アンビグラム。広告に限らず、まだまだ発展の余地がありそうだなと思わされました。