いつも月末あたりに登場している、この連載。今月も同様です。
前回と前々回は、ものごとの名前を選ばせるタイプのテーマでした。今度は少し趣向を変えて、こんなテーマにしてみましょう。
これは、4月の「ありがとう」に近いものがあるかもしれません。多くの人が知っている、おなじみのフレーズがどう料理されるのか、とても楽しみです。
では、順に見ていきましょう。最初にご紹介するのは、Hiroshiさんの作品。
スッと読めつつ、「irt」の部分を見ると、左右で同じ形になっています。もっと全体を見れば、どのパーツも、それぞれ2枚ずつ使われているのです。単純そうに見えて、ほのかにヒネリのきいているアイデアですね。
続いて、意瞑字査印さんから、こんな作品をいただきました。
英字で「BIRTHDAY」なのですが、「おめでとう」にも読めてきませんか? それぞれの文字の微妙な位置が、この不思議さを成立させているようです。どこか書のような雰囲気と相まって、何度も眺めてしまいます。
さらに、こんな図案も届いていました。作者はigatoxinさん。
「お誕生日」を上下ひっくり返すと、そのスキマに白く「おめでとう」の文字。ひらがなの思わぬ登場に、ちょっと驚きますね。漢字の複雑さを巧妙にコントロールしながら、意外性も盛り込んだ、なかなか見事なアイデアです。
ところで、ひらがながあれば、カタカナもありますよ。
kawaharさん作の「ハッピーバースデー!」は、180度回転しても変わらない形。まさに、正統派のアンビグラムと言えるでしょう。文字の微妙な調整もさることながら、小さな星も、文字の一部として機能しています。
最後は、まっしーさんによる、こちらの図案。
「Happy birthday」と書かれているのですが、なんと全体で左右対称になっています。それを可能にする形の工夫も、本当にさまざま。2つあるyが、それぞれ違う変化を見せているなど、優雅な文字にひそむ技巧にも注目したいところです。
さて、今月はこれで終わり。どれも見事なアイデアでしたね。ご協力くださった作家のみなさん、ありがとうございました。また、来月の再会です。