凧とパズルと判じもん - LLP ASOBIDEA/アソビディア - 面白いをカタチに

凧とパズルと判じもん

岩瀬 尚行
学校教諭を経て、2001年に京都でパズル工房「葉樹林」をスタート。立体パズルを創作・販売するかたわら、パズルの楽しさを広める活動を続けている。

鳥居 勝久
滋賀県東近江市にある、世界凧博物館 東近江大凧会館の学芸員。凧に関するイベントの企画・運営に加え、さまざまな展示会の仕掛人としても活躍している。

6 広がりが出てくる

鳥居
大凧の特徴として、ずっと文字と絵柄の組み合わせが続いてますけど、時代とともに英語も入ってきてるんですよ。
────
英語!
岩瀬
ふふ、そうやね(笑)。
鳥居
この前、はじめて英語をやりました。今までは「グッドラック」みたいにカタカナだったんです。それが蛇の年に「ハブ」を描いて、I have a dreamですから。
────
なーるほど。

上部にハブ、その背景にはIとAの文字が入った手ぬぐい。中央の「夢」と合わせて、全体で I have a dream という意味になる。

鳥居
地域の方が作った凧にあったのかもしれないですけど、東近江大凧の伝統を守っている人が作った凧としては、初めての英語でした(笑)。
────
そのうち、フランス語とか、他の言語が入ってくる可能性もありますね。
鳥居
干支の凧は、もう30年ぐらいになるので、だんだんネタがなくなってきます。将来的には、動物をフランス語で読んだら……なんてことがあるかもわからない。
ただ、誰が聞いても分かるようなものでないとね。ロシア語でこうなんです、とか言われても大変(笑)。
岩瀬
そこは、かなり国際的なものでないとね。
────
あと、言葉として使うのではなくて、海外の人が関わってくる可能性はありませんか? 外国の方に考えてもらう、というような。
鳥居
たとえば、百畳の大凧は図柄を公募してるんですよ。その応募者が海外の方だったらそうなりますけど、今のところはないですね。
岩瀬
文字の壁というのがあるかな。
鳥居
それがね、いつも通訳の方が困るんですよ。
犬を逆さまにして、英語で「グッド」というのは分かりやすい。けど、グッドラックの「ラック」は楽という字を「らく」と読むから……なんて、日本の文化になってしまいますよね。通訳するには難しいと。
────
中国の方なら、なんとか分かってもらえる……かも?
鳥居
中国というと、「福」という字を逆さまにしたものがあります。あれが判じものと一緒です。
────
なんか、読み方が関係あるんでしたね。
鳥居
たしか、発音が「福が来る」という意味になるんですよ。逆さまという言葉が、何かやって来るというのと同じ発音になるみたいで。
岩瀬
同じ発音になる、というのは多いよね。向こうでは、よく音の類似が使われてる。
鳥居
まぁ、判じもんも、ずっとやってきているので、なかなかネタがなくなってきてるんですが、成人式の大凧には干支を入れていて、これには戦略もあるんです。
────
戦略。
鳥居
新成人を祝う大凧なので、べつに干支にしなくてもいいんです。
でも、干支にすることによって、PR度は高まる。たとえば、年末に「来年の干支のヒツジの大凧が完成しました」とすると取り上げてもらいやすいので。
────
ちょっと、一般性が高まると。
鳥居
そうそう。
岩瀬
百畳の大凧に、そういう制約は?
鳥居
ないです。百畳の方はテーマを決めるだけ。今回でしたら、「ふれあい」というテーマで考えてください、となりますね。
岩瀬
絵柄と文字との、ちょっとしたトリッキーな判じものがあればいいんだ。
鳥居
そのときに、絵も出してもらいます。言葉だけではダメですので。
────
絵もセットで。
岩瀬
その辺が理解できたら、外国の人も十分に入り込む余地はあるわけですね。
鳥居
あります、あります。
────
もしくは、足し算してもいいですね。外国の方にアイデアを出してもらって、それはこうやって表現できるよ、という感じでコラボしたりして。
鳥居
そうですね。まぁ、成人式に揚げる凧は関係者や保存会の人たちで考えてますけども、他の人で何か良い意見があれば、採用することは十分ありえますから。
岩瀬
そこのところは公募でないわけやね。
鳥居
そうです。そこは内輪で考えてます。もし岩瀬さんが、こんなんありますよって言ったら、それが採用されるかもわからない。
岩瀬
はいはい。
────
基本的に、良いアイデアはウェルカムだと。
鳥居
はい。まぁ一応は関係者と言っているんで、何かで集まったときに出してみて「それ、ええやん」となったら、それが採用ですわ(笑)。
────
そこはフットワークが軽いですね。
鳥居
それが、やっぱり保存会の良いところかも。自分らだけで固まるんじゃなくて、いろんなものを取り入れるというのが。
岩瀬
それ、大事なことですね。排他的なものになると、どうしても先が狭まる一方になるんですよ。門戸を広げた形でやると、まだまだ広がりが出てくるというか。
鳥居
伝統を守りつつ、いろんな人のアイデアを取り入れたり、いろんなことをやっていく。昔の人は富士山の頂上まで凧揚げしに行ったとか、普通は考えないことをやってますよ。
鳥居
今でこそ、日本の凧の会の人が海外にも行ってるんですけど、ここはものすごく早いんです。中国に行ったときは、昭和56~7年ごろだと思うので、その時代、中国に凧揚げしに行くなんて考えられないですよね。そういう意味で「新しいことをやる」という思いが、ここの保存会にはあるように感じます。
────
それは、凧を揚げるためだけに行ったんですか? 何かのついで、ではなくて。
鳥居
ええ、凧揚げのために。
岩瀬
その目の向け方・考え方というのは、すごく大きいなと思いますよ。
────
凧って保守的で、なんとなく変化がないのかな、と思いがちですけど、実際は大きく変化しているんですね。
鳥居
はい。
────
さて、だいぶ時間が経ってしまいました。そろそろ終わりにしましょうか。
岩瀬
まぁ、そちらの都合で、うまくまとめて(笑)。
鳥居
まとまりますか? なんや、いろいろありましたけど。
────
大丈夫です(笑)。ピンバッジのこととか、いろいろ面白いこともありましたし。
岩瀬
え、あれも入るのか(笑)。
────
もちろん。もう、オープニングは決めましたので。
一同
(笑)
────
そういうわけで、ありがとうございました。
鳥居
ありがとうございました。
岩瀬
どうも、お疲れさんでした。
(おわり)