これまで、様々に紹介してきた「飛び出さない絵本」。連載で紹介してから、シリーズの新刊が出る事もあります。今回は、過去の連載を振り返りながら、その後に新しく発表された本をご紹介します。
第7回「へんしん」では、言葉の「変身」を仕掛けに使った、あきやまただしさんの「へんしんシリーズ」を紹介しました。その後、『へんしんマーケット』と『へんしんおてんき』が発表され、現在では17冊のシリーズになっています。
この二つの新作も、コンセプトは変わらず。「おちゃ」を買ったら「チャオ!」と陽気なイタリア人になったり、「サメコ」ちゃんがおでかけすると「こさめ」が降ってきたり……。声に出して読むと、リズミカルな言葉遊びが楽しめます。
第9回『ままです すきです すてきです』では、しりとりをテーマに四冊の絵本を紹介しました。最後に紹介した、亀山達矢さん・中川敦子の創作ユニット tupera tupera(ツペラ ツペラ)による『うんこしりとり』。
その後、第二弾の『おならしりとり』が発表されました。ライオンのおなら → らくだのおなら → ……と続く、ユーモラスなしりとりが楽しめます。
第10回『さかさことばのえほん』では、回文を用いた絵本を紹介しました。言葉あそびの絵本をたくさん書かれている石津ちひろさん・高畠純さんの絵本『ぞうまうぞ・さるのるさ』には、シリーズ続編の『かばのさら・ばらのかさ』があります。
こちらは一作目とは違い、アナグラムという文字遊びを仕掛けに使っています。「かばのさら」の五文字を「か・ば・の・さ・ら」とバラバラにして並べ替えると「ば・ら・の・か・さ」 → 「ばらのかさ」。カバさんとクマさんのいろいろな姿がアナグラムで表現されています。
第13回『ドアをあけたら』では、穴あき絵本を二冊ご紹介しました。一冊目に紹介した、しまだともみさんの『ドアをあけたら』にも続編があり、『のぞいてみると』というタイトルで発表されています。
開いている穴も、前作ではページごとに一つでしたが、今度は複数個になってパワーアップ。想像しながらページをめくると、実際に広がる世界に驚かされるはずです。
第14回『きょうのおやつは』では、造形作家でもあるわたなべちなつさんの『かがみのえほん』シリーズを二冊ご紹介しました。
その後、シリーズ第三弾となる『かがみのえほん かがみのサーカス』が発表されています。先の二冊と同様、鏡を使った仕掛けを存分に楽しみながら、ダイナミックなサーカスの世界を堪能できます。
色々と連載を振り返ってみました。紹介したシリーズに第二弾、第三弾と、新しい作品が発表されているのを見るたび、「飛び出さない絵本」の世界が広がっているのを感じます。今回はここまで。次回、区切りの20回目をお楽しみに。