まもなく新しい年度がスタートする時期ですが、この連載も今回で12ヶ月目。一年間の大きな区切りを迎える前に、この月を振り返っていきたいと思います。
最初は、ずっと続いてきた月名のアンビグラム。作者はASOBIDEAの三輪です。
にぎやかな「March」は、上下をひっくり返しても同じ形。中央にaとrを置いて、巧みに対称性を引き出しています。これで12種類の月名が揃ったわけで、まさに継続は力なり。
さらに、同じ月名が、こんな形にもなります。Hiroshiさんによる、こちらの作品。
最初の二文字に注目すると、「MARCH」の中に「3月」が。この結果だけ見ると、あまりにシンプル。ですが、それを見つけるのは別の問題なのでしょうね。とにかく、お見事です。
続いて、今回も月の和名が届いています。作者は、まっしーさん。
「やよい」の中に見えるのは「つくし」。ここにも、シンプルで面白い発見がありました。これを成立させる微妙な形の調整も、その一つ一つが意味を持ってなされています。
ところで、こうした春の到来を感じさせる植物は、他にもありますよ。
意瞑字査印さんによる「ツクシ」「ワラビ」「ナノハナ」は、一見すると普通。ところが、すべてナナメに折ると重なる形なのです。収まりの良い字面に、遊びを忘れてしまいそう。
季節の植物を、もう一つ。kawaharさんが作ってくださいました。
「桃乃花」と同時に「もものはな」にも見えます。まさに、漢字と読みの両立。それぞれの文字を構成する小さな桃の実と相まって、かわいらしさと不思議さも両立した図案です。
そして、三月で桃というと、これがありますね。作者はigatoxinさん。
「ひな祭り」の全体は逆さにしても同じ。これぞ、正統派のアンビグラムです。ひらがなと漢字が混じって複雑になるところ、パーツの類似性を利用した変形が光っていますね。
これにて、今月は終わりです。ご協力くださった作家のみなさん、ありがとうございました。
さて、次回から新しい年度に入りますが、この連載のテーマも新しく変わります。その詳細も含めて、どうぞ次回をお楽しみに。